組織案内

【会長挨拶】

全国地理教育研究会会長  髙橋 基之

東邦音楽大学附属東邦中学校・東邦高等学校 校長

 

 本研究会も令和のこの年、創立65年目に入るとともに、第64回の全国大会を迎えることとなりました。今大会は、富山県の先生方のお力をいただき、富山大会と銘打ち、「地理総合に向けて ~地域に根差し、将来を見据えた地理教育」を大会テーマとして開催する運びとなりました。
 令和4年から始まる、高等学校必修教科「地理総合」の実践に向けて、全国各地からの多くの参加者とともに、地理の得意とする生徒の主体的・対話的で深い学びのアイデアが膨らむことを心から期待しているところです。
 今後の具体的な実践に向けて、「社会で求められる資質・能力を全ての生徒に育む」という観点から、地理歴史科を構成する空間軸と時間軸をそれぞれ学習の基軸とする「地理総合」と「歴史総合」をいずれも必履修科目としながら、「生徒一人一人を生涯にわたって探究を深める未来の創り手として」育むという観点、その「探究」を科目名にした「地理探究」、「日本史探究」及び「世界史探究」を、生徒自身の興味・関心を踏まえて学ぶ選択科目へつなぐ今後の学習の在り方について、さらに考えていかねばならないと思っています。
 これまで長きに渡って行ってきた、戦後70年間に及ぶ社会科教育の概念・発想・観点から大きな転換を図りながら、私たちは、地理教育を通して、次代を担う生徒たちに、どのような学力を身につけさせるのか、地理的事象に対して、基礎的な知識・理解をベースに、関心・課題意識を高め、諸情報を分析・処理し、課題の解決に取り組んでいけるよう、「何ができるようになるのか」「何を学ぶのか」「どのように学ぶのか」を踏まえて、教師自らが探究していかなければなりません。
 今回も歴史教育との相互の必要性と有用性を確認したところですが、この必修化の中で、まさに地理嫌いの生徒を沢山生み出してしまうと、再び選択教科に戻ってしまうとの高い危機意識も存在するところです。
 これまでの学校教育の蓄積を生かし、学習の質を一層高める授業改善の取組を活性化していくことが必要です。今後も中学校の「学び」、学習成果をしっかりと踏まえ、その上で、世界とその中における日本を広く相互的な視野から捉えて、現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を考察する「歴史総合」と、持続可能な社会づくりを目指し、環境条件と人間の営みとの関わりに着目して現代の地理的な諸課題を考察する「地理総合」を相互の学習を踏まえながら展開していく実践を皆さんの力を結集して創造していかなければならないと考えています。
今後も本会の活動を活性化させて、生徒が分かる授業となる具体的な授業展開を進めるため、歴史を専門に学んできた教員とともによりよい実践につなげ、地理の学習に意欲的に取り組む生徒を沢山生み出していくことが大切と考えます。
 生徒の知的好奇心を掘り起こし、生徒に学習の有用性を示しながら、地理学習をより深い学びへと構築し、その結果、生徒が今後のより良き社会を築く市民・国民となるようにしていきたいものです。
 そのためにも、さまざまな分野からのご支援をいただきたいと思っております。これまでのご支援に心から感謝申し上げるとともに、本会への益々のご支援ご鞭撻をよろしくお願いいたします。



【全国地理教育研究会事務局】

  五十嵐和也 東京都立保谷高等学校   

  〒202-0005 西東京市住吉町5-8-23 TEL 042-422-3223 FAX 042-423-9631